天然木に新しい価値を吹き込む
「マーベルウッド」

PART 3

AQ1種認証取得を機に
要望の多い首都圏への供給も視野

いよいよ2021年から本格的にマーベルマーベルウッドの販売を始めるそうですね。

小澤

各種試験データをはじめ、必要な資料をそろえて審査していただき、2019年にようやく「AQ認証1種(優良木質建材等認証制度)」を片山化学工業研究所で取得しました。また、2020年度には、優れた木材保存剤を対象とした公益財団法人日本木材保存協会の「木材保存技術奨励賞」も授賞しています。

そうした公的なお墨付きを得たのを機に、広くマーベルウッドを使っていただける供給体制の整備に乗り出しました。
2021年春、その拠点として群馬県川場村に新しい生産施設の建設を計画しています。

例えば、新たに供給体制を強化するのが、首都圏です。これまで多くの問い合わせをいただきながら、首都圏には十分に供給できませんでした。

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具体的には、群馬県川場村と「連携事業継続力強化計画」に取り組み、同村の木材をマーベルウッドとして供給していく予定です。

林業が盛んな川場村は、地元の木材資源を地域振興につなげる「木材コンビナート構想」のもと、第三セクターの「ウッドビレジ」を設立するなど、国産材の普及拡大に積極的に取り組んでいます。

実績を知った各方面から問い合わせ

AQ認証を受けたのは最近ですが、導入実績はそれ以前からありますね。

小澤

AQ認証を取得前から性能を示すデータはすべてそろっていたので、地元の福井県を中心に細々と営業活動はしてきました。そのなかでマーベルウッドに共感してくださった方々が使ってくれています。
決して数は多くないのですが、福井県外にも実績はあります。
例えば、京都の「北野天満宮」のデッキや「京都御所の御池庭・御内庭」などで採用されています。
東京都内でも、新木場の「木材会館(東京木材問屋協同組合)」の7階テラスのデッキ改修で採用していただきました。

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北野天満宮デッキ
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京都御所の御池庭・御内庭
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木材会館(東京木材問屋協同組合)7階テラス

具体的にはどのような用途が多いでしょうか?

小澤

公共工事と民間工事の2つの方向があると考えています。
これまでの実績は公共工事が多いのですが、公園などの木柵やデッキ、ベンチ、木道、木製橋、案内板など、地域の木材を活用した様々な箇所で使われています。

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もう1つの民間工事では、木造住宅の土台などで使えるのではないかと考えています。また、庭のフェンスやデッキといったエクステリア部材としても活用できると思います。
さらに1つ加えると、ベンチ製品などオリジナルデザインのプロダクト開発もあり得るのではないかと考えています。

国産材の利用拡大に貢献、輸出も視野

具体的には、どのようにしてマーベルウッドをつくるのですか。

小澤

製材・乾燥した木材を専用釜に入れて、マーベル木材保存剤を加圧注入した後、十分に乾燥させて完成します。

どのような樹種を使うのですか?

小澤

国内で生産量の多いスギやヒノキをはじめ、いろいろな木材を使えます。
マーベルウッドは国産材の利用拡大を主眼にしているので、各地で進む地域材活用に貢献していきたいと考えています。

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海外からも引き合いがあるそうですが。

小澤

福井県の支援を受けて、2019年に台湾の建築建材展に出展したところ、大きな反響がありました。そこで知り合った建築設計者の何人かとは、その後も具体的な商談を進めています。
台湾など海外の需要を掘り起こし、木材を輸出できるようになったら、国産材の利用拡大にさらに貢献できるのではないかと思って、私自身も期待しているところです。

まだ本格的な供給体制の計画が整ったばかりですが、これからマーベルウッドを普及させることで、SDGs(持続可能な開発目標)をはじめとする持続可能な社会の実現や、環境保全の推進、そして豊かで快適な社会の構築に貢献していきたいと考えています。

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プロフィール

小澤聖輔(おざわせいすけ)

株式会社マーベルコーポレーション代表取締役

1962年生まれ。1990年、福井市の三谷商事に入社。建設資材営業などの業務を担当。
1998年より、のちにマーベルウッドと名付けることになる木材の保存剤開発に乗り出す。2011年10月マーベル木材保存剤の開発を機に退社、マーベルコーポレーションを設立。
木材が好きすぎて、商社マン時代に「技術士森林部門」、「1級造園施工管理技士」を取得し、周りから変人扱いされる。現在は木材の仕事を存分にできる環境なため、毎日が楽しくて仕方ない。
双子の娘と妻の4人家族。
2015年「ウッドチャレンジ優秀作品」、2016年「ウッドデザイン賞」受賞
新聞・雑誌での取材記事の掲載多数
環境省認定「環境カウンセラー」、福井県認定「ふるさと研究員」、「福井県木材利用研究会」委員