天然木に新しい価値を吹き込む
「マーベルウッド」

「マーベルウッド」は独自開発の木材保存剤を用いて、「耐久性」「環境性」「美観性」の3つの機能を持たせた天然木材です。
その開発は、1998年に農林水産省の補助事業である「環境にやさしい木材保存処理技術の開発」としてスタート。以来20年近くの歳月を費やして、過去にない高品質な木材保存技術を開発。2019年に「AQ(優良木質建材等認証制度)1種」の認証を取得したのを機に、首都圏をはじめ広く全国に供給する体制が整いました。
マーベルコーポレーション代表の小澤聖輔氏が、マーベルウッドが持つ新しい価値と、長い時間を投じて開発に打ち込んできた思いを語ります。

株式会社マーベルコーポレーション代表取締役小澤聖輔氏

PART 1

独自開発の木材保存剤で
環境性と耐久性を両立する天然木材を実現

「マーベルウッド」はどんな木材なのですか?

小澤

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スギやヒノキといった国産材に、独自開発の木材保存剤を加圧注入したのがマーベルウッドです。
これまでにない優れた性能の天然木材をつくることができたので、「驚くべきもの」を意味する英語の“MARVEL”を用いて「マーベルウッド」と名付けました。

すでに世の中で普及している防腐防蟻処理木材とはどのように違うのですか?

小澤

「環境性」「耐久性」「美観性」の3つの性能で、従来品よりはるかに優れた木材であることが最大の特徴です。これらの性能は、長い時間をかけて開発した「マーベル保存剤」の効用によるものです。

マーベル保存剤は、従来の木材保存剤とどう違うのですか?

小澤

現在、防腐防蟻処理用の木材保存剤で9割以上の圧倒的シェアを占めるのは「銅系木材保存剤」と呼ばれるものです。
建設現場などで、くすんだ緑色に染まった木材を見かけることがありますよね。あれが銅系木材保存剤で処理した木材です。木造住宅でも、土台など足元の木材に使われています。
一方、マーベル保存剤は有機系の木材保存剤で銅などの重金属は含みません。仮に溶け出したとしても、環境面や健康面で安全な成分で構成しています。
また、マーベル保存剤は無色透明なので、加圧注入後も見た目は天然の木材と何ら変わりがありません。木の色合いや肌合いを損なうことのない美観性を備えているのです。

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木材保存剤の「溶脱率」は従来品の10分の1

さらに耐久性にも優れるわけですね。

小澤

マーベル保存剤は、加圧注入した木材から溶け出すことがほとんどありません。
木材に注入した保存剤が、その後どれくらい溶け出すかを示す指標に「溶脱率」というものがあります。現在、主流の銅系木材保存剤の溶脱率は16.8%ですが、マーベル保存剤の溶脱率はその10分の1程度の1.7%です。
溶脱率が極めて低いので、保存剤の効果が長期間にわたって持続し、木材に高い耐久性を持たせることができます。

JIS K 1517に基づく成分溶脱試験結果

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※1 溶脱率(%)=溶脱液中の成分量/注入量から計算した木材試験片中の代表成分量×100
※2 各溶脱液について四級アンモニウム塩類は吸光度法にて、銅濃度はICP発光分光分析法による

それほどの特性を備えた木材保存剤が、どうして今までなかったのでしょう?

小澤

実は、こうしてマーベルウッドを広くPRできるようになるまでには、研究開発や実証実験などで約20年の時間がかかっています。2019年にようやく木材保存剤の公的なお墨付きと言える「AQ認証(優良木質建材等認証制度)」を取得できました。
1990年代の終わりに「これまでにない木材保存剤」の開発に乗り出した当初は、これほどの歳月を要する大きな挑戦だとは思いもしませんでした。