起業するということ㉗
/仕事
地元大手の商社勤務は、貴重なビジネスの力を蓄える
期間となった。私は「マーベルウッド事業」以外にも
日立製作所のエレベーター、三井金属の上下水道用
パイプ、三菱電機、シャープの太陽光発電の営業
責任者でもあった。北陸で営業を展開したい大手
メーカーは、まずはこの会社にあいさつに来て、
代理店契約をして販路を拡大していった。私も
担当営業マンとして、大手メーカーと協調して
市場開拓にあたり、各社の営業方針、製造企業
としての社会的責任、リスクヘッジ、社風など、
多くのことを学んだ。大きな金額の動く商売は
ダイナミックで緊張感があり、1社員という
よりは、1人の経営者としての責任と権限を
与えられており、やりがいを感じながら、経験
積むことができた。同時に、地力をつけて営業に
自信をつけてくればくるほど、自分の会社を起業
したい、この仕事で世界で勝負したい、という
気持ちがどんどん強くなっていった。
㉘に続く。
起業するということ㉖
/仕事
商社マンとしての営業活動は、自由で独創性の発揮
できる環境だった。毎朝、「鬼の10則」を合唱させ
られること以外、何を売ってもいいから売り上げを
作ってこい、という部署。自分で工夫して新たな
ビジネスを創造する格好の訓練の場だった。
社内に「社内ベンチャー起業制度」があり、私は
役所回り時に、役所の人から「これからは間伐材・
国産材利用の時代が来るよ。」というアドバイスを
基に、森林・木材の勉強を始めた。1998年ころの
日本国政府は、戦後の大造林時代に植林された、
50億㎥を超える人工林の整備、間伐、主伐が喫緊
の課題となっていることを知った。必ず、間伐材
国産材利用の公共事業、民間への支援事業が活発
化されると思った。そして満を持して「国産材の
マーベルウッド(保存処理高耐久木材)製造・
販売事業」を会社へ提案したのだった。そして
運よく、その年度の準優勝となり、会社公認
の企業内起業家としての事業活動が始まった。
㉗に続く。