起業するということ㉚
/仕事

「会社を辞めて独立する」と決心してから、起業への
準備を進めていった。在職中での行動なので、会社へ
迷惑をかけないよう昼間は業務に集中した。夜、自宅
で、会社設立の方法、定款の作りかた、会計事務所は
どこにするか、司法書士はどこに頼むか、会社通帳、
メイン銀行はどこにするか、事業計画書5年間作成、
仕入れ先、売り先の独立後の動向予測、資金の調達
損益分岐点、ありとあらゆることを想定し準備した。
もちろん、家族や両親、身近な親戚にも通告した。
予想に反して、家族も親戚もだれも反対しなかった。
こいつには何を言っても聞かない、と思われたか。
ただ、取引先からは反対された。あるメーカーの
支店長は「私が人事部に掛け合って、オザワさんを
辞めさせないように説得します!」という強者も
いた。ある意味、独立起業の目的は「マーベルウッド
事業で海外展開する」ことが目的で、その他の製品の
取り扱いはしない予定だったため、各メーカーの
人たちからの引き止めは強かった。ある大手メーカー
の人からは「どうしてオザワさんが会社を辞めるのか
全く理解できない」と言われた。大企業に勤めている
社員にとっては、定年まで勤めあげるのが常識と言わん
ばかりの言い方に驚かされた。会社人生は永遠ではなく
いずれはだれもが会社から離れた人生を歩む日がくる
ことを、なぜ早くから意識しないのか不思議だった。
「無常」も私の好きな言葉だ。
㉛に続く。