起業するということ⑩
/仕事

国の認定を取得し、重要案件で実績を作り、県の
研究会の委員になった段階で、注目度が一気に
アップした。役所や設計事務所に営業に行って
も、今までとは先方の聞き方が変わってきた。
県の自然公園整備工事等で、マーベルウッド
での設計仕様が次々と実施設計書に記載され
ていった。当時、まだ一人で営業から材料手配
製造管理、出荷、施工管理、証明書、納品書
請求書の発行、会計処理、すべてを行っていた。
早朝2時に岐阜の現場へ材料を搬入し、そのまま
東京へ2トン車で移動し、東京の設計事務所へ
営業活動し、寝不足のまま、ふらふらになって
福井まで運転して帰ったこともあった。
ひとりで、である。しかし、ぜんぜん大変で
なかったし、辛いなどと1度も思わなかった。
世の中に必要とされている幸福感のほうが
強かった。オザワという一人の人間を信用し
ていただき、仕事を発注してもらい、天然木材、
地域の木材、県産材の利用拡大に貢献出来て
いるという喜びは、何物にも代えられないもの
だった。この高揚感のために、自分は起業した
のだと実感できた。 ⑪につづく